整数倍音以外の成分を除去
非調波成分の抑圧
戻る

ピッチを拾える箇所で基本波の整数倍以外の成分を除去したい時があります。
明瞭度を向上させたい時や、残響を除去したい時などがそれに含まれます
これに使えるいくつかの方法を試しました

1)FFT結果の操作
FFT結果を何も操作せずIFFTすると元の信号に戻ります
FFT結果で基本波の整数倍付近のbinではゲインを落とさないが、それ以外の binではゲインを落とすという操作をすると、目的に適った結果を得られます。
各bin番号に対するゲインをどう決めるかに対する決定的な答はありません。
効果と音質維持のトレードオフです。

2)Spectral Subtract
Spectral Subtract は発音体以外が出す雑音を除去するのに使います
その目的では不都合なのですが、発音体が出す非調波成分も減じてしまいます
そこで適切なノイズカーブを使うことで、本案件にも使えます。
ピッチ測定が不要なので、ピッチを誤って測定する事は避けられ、また 複数楽器が同時発音しピッチが測定できない場合にも使える利点があります

3)分析再合成
周波数と各倍音成分が時間の進行につれてどんな値になるかのデータを取ります。
次に、それらのデータから時間軸の音声信号を再合成します
ピッチの拾えない箇所は、(本件の目的では)元の信号をそのまま使います。


以下で、元音源とともに上記3つの方法で加工した音声信号を、試聴できます
各スペクトログラムも掲載します。倍音間が白いのは倍音間の成分が消えたこと を意味しますので、どれも効果がありますが、敢えて言えば3番目の方法が効果的です